東京大学史料編纂所

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京都醍醐寺出張報告

 醍醐寺所蔵の古文書・記録・聖教類については、例年の如く、昭和四十一年八月二十七日より九月二日までの七日間、同寺に出張し調査撮影を行った。昨年の調査の後を承けて、本年は第五十函より五十九函までの十函の調査を行い、マイクロフィルムで五罐三千五百五十九齣を撮影した。
 本年調査した文書の内容は、江戸時代に於ける法会・修法の綸旨、南北朝以降の僧官及び東寺長者等の補任の宣旨并に口宣案、綱牒及びその案文、叙任勅許等の職事差文、室町時代以降の補任状及び鎌倉時代以降のその案文、院号・袈裟の許可状、毛利輝元(宗瑞)・同秀元・板倉勝重・同重宗、その他細川・有馬等近世初期の武将の書状があり、また法流免状及び末寺の請状・口状・覚書等、江戸時代寺院の檀越・本末関係を示す文書及び大峰銅山の開発に関する書類・地図等、注目すべきものが含まれている。
 出張期間中の八月三十一日の午前には、故史料編纂官三成重敬氏の追悼法要并に霊宝館前に建立された同氏の供養塔の落慶供養と分骨納骨式が行われ、出張者一同もこれに参列した。
 (花田雄吉、渡辺直彦、高沢実)


『東京大学史料編纂所報』第2号p.51